【AI編集部運営記#7】自動巡回が、一度も動いていなかった日——たった1文字の「#」と、フォロワー0人の現実

ノウハウ・戦略
Captain H

この記事の信頼性

Captain H|複数の事業を経営する経営者
本業のかたわら、AIに「AIマイル戦略室」の運営を丸ごと任せる実験を実施中。運営の裏側は運営記シリーズで包み隠さず公開しています。

「動画ジョブキューの8件、なぜそのままなんですか?」

8月の終わり、私がTOWERに投げた質問はこれでした。8月28日に登録したYouTube Shortsの動画ジョブ8本が、数日経っても「未処理」のまま一歩も進んでいなかったのです。

結論から書くと、原因はたった1文字の「#」でした。そして、その調査の途中で、私はもっと居心地の悪い数字を見ることになります。

「止まった」のではなく「一度も動いていなかった」

最初のTOWERの見立ては「b06(前の動画)の処理後に巡回プロセスがクラッシュしたのでは」というものでした。もっともらしい仮説です。ただ、TOWERはクラウド上のAIで、サーバーの中を直接は見られません。そこで、サーバー側で動くもう一体のAI(Claude Code)に調査を依頼しました。

返ってきた答えは、仮説を真っ向から否定するものでした。

「当初の推測は誤りでした。巡回スクリプトは、cron経由で一度も成功実行されたことがありません。8月27日20時45分に設定行が追加された時点から、ずっと壊れたままでした」

8月27日、別のAIセッションがサーバーの定期実行設定(crontab)に新しい行を追加した際、末尾に改行を付けずに書き込んでいました。その結果、もともと1行目にあったコメント「# Edit this file to introduce tasks…」が、追加した行の末尾に改行なしで連結されてしまった。閉じクォートの直後に「#」が続くと、シェルはそれをコメントとして扱わず、同じ命令の一部として読みます。命令は毎回15分ごとに起動しては、「ambiguous redirect(曖昧なリダイレクト)」というエラーで即座に死んでいました。

たちが悪かったのは、壊れていたのがログを書き出す部分そのものだったことです。エラーの出力先が存在しないので、ログには痕跡が一切残らない。「ログが止まっている」のではなく「最初から一度も書かれていなかった」状態でした。前回の運営記で「PCを閉じても止まらない仕組みになった」と書いたb06の動画も、実は自動処理ではなく、後から手動で実行されたものだったことがこのとき判明しました。

Captain H
Captain H

仮説が間違っていたことを、サーバー側のAIは実際にエラーを再現して証明してきました。「たぶんこう」ではなく「実機で確認した」。人間の部下にも、こうあってほしいと思う仕事の仕方でした。

直したら、次の問題が見えた

設定を修正し、まず1本だけ(b09)を本番と同じ経路で流してみました。2分36秒で、音声生成から動画合成、YouTubeへの限定公開アップロードまで完走。仕組み自体は健全でした。

ところが、その検証の中でサーバー側のAIが別の問題を見つけます。8本すべてのジョブで、動画に「PR」のテロップを重ねるためのフラグが抜けていたのです。説明文には「※PR/アフィリエイト広告を含みます」と書いてあるのに、動画本編にはPR表記が出ない。ステマ規制の観点で、これは公開してはいけない状態です。

該当する3本のジョブにフラグを追加し、すでにアップロード済みだったb09は作り直して差し替え、旧動画は削除。残り7本は1本ずつ順番に流し、それぞれ限定公開・PRテロップの有無を確認してから次へ進む——という手順で、約20分で全件が揃いました。承認キューで私が「完了」を押した8本は、15分以内に自動で一般公開されています。

ついでに、確認と承認があちこちのデータベースに散らばっていて面倒だったので、動画・SNS投稿・改善提案・タスクを1画面に集めた「CAPTAIN承認キュー」をTOWERに作らせました。私がやることは、この画面でボタンを押すだけです。

居心地の悪い数字

ここまでは、わりと気持ちのいい話です。問題はここからでした。

動画が8本公開されても、X・Instagram・Facebookの反応が、まったくない。気になって、ユーザーの目線でうちのアカウントを眺めてみたのですが、正直に言って、記事を読み進めたいとも、フォローしたいとも思えませんでした。アイキャッチにもサムネイルにも、惹きつけられるものがない。

担当のAIたち(ブランド統括のLENS、ビジュアル監査のCOMPASS、動線担当のBEACON)を集めて緊急ミーティングを開き、実データを出させました。

  • Instagram: 直近30日で45投稿。フォロワー0人。全投稿のリーチ合計3。いいね0。
  • Facebook: ページのいいね1。直近10日の投稿はインプレッション0〜2。リアクション0。
  • さらに、8月31日には同じ文案が2〜3回ずつ重複投稿されていた。Instagramのプロフィールには、キャプションで毎回「プロフィールのリンクから」と誘導しているのに、リンクそのものが設定されていなかった。

「反応が少ない」のではありませんでした。そもそも誰にも届いていなかった。届いていない相手に向けて、AIは律儀に45本の「広告に見える文字カード」を投稿し続けていたのです。

Captain H
Captain H

仕組みが動くことと、成果が出ることは別物です。「止まらない部下」を手に入れて浮かれていた前回の自分に、この数字を見せてやりたい。

AIたちの診断と、これからやること

ミーティングでAIたちが出した診断は、痛いところを突いていました。投稿の9割が「〇〇カードはポイントサイト経由でXX,000pt」というカタログで、フォローする理由がない。8月26日に決めたブランドの方向性(シンプルで洗練された、生活をアップグレードする訴求)と、実際のビジュアル(原色の青と紫、ゴシック太字、お得訴求)が真逆になっている。そして、届け先ゼロのまま大量投稿を続けたことで、アルゴリズムからも人からも「選ばれていない」アカウントに見えている。

対策は3段階で進めることにしました。まず止血。重複投稿の削除、リンクの設定、投稿頻度を1日1本以下に制限し、カード案件の機械的な全件投稿はやめます。次に作り直し。SNSに流すのは「AI編集部の裏側」と「上質な陸マイラーライフ」の2本柱だけに絞り、単枚の文字カードをやめてカルーセルとリールに切り替える。ビジュアルは生成りとダークネイビーを基調にした落ち着いたトーンへ刷新します(試作はもう上がってきています)。そして2週間後に、フォロワー数と投稿あたりのリーチで効果を測る。

うまくいくかは分かりません。ただ、フォロワー0人という数字を隠さず書けるのは今だけなので、ここに残しておきます。

次回は、この立て直しの結果を——良くても悪くても——実数で報告します。

もっと詳しく知りたい方へ

この「AI編集部運営記」では毎回のトピックをかいつまんでお伝えしていますが、実際に使っているプロンプトの全文・Tier1〜3の権限フレームワークの実物・盛大な失敗集の技術的な詳細、そして収益化の生々しい実数値までを、進行形の記録としてまとめている有料記事があります。よろしければこちらもどうぞ。

AIに会社を任せてみた10日間(note、有料記事)

Captain H

Captain H|「AIマイル戦略室」運営者

3社・50人超を率いる経営者。本業のかたわら、AIマイル戦略室の運営をAIチームに任せる実験を継続中。

コメント

タイトルとURLをコピーしました